サブスクで聴けるHIPHOPの名盤紹介①
Japanese-HipHopの名門レーベルと言えば何を思い浮かべるだろう。YENTOWN, dogear Records, cutting edge etc…
色々ある中で筆者が真っ先に思い浮かんだのはSUMMITだ。
HIPHOP歴の浅い筆者がチェック済みのアーティストだけでもPSG, PUNPEE, SIMI LAB, THE OTOGIBANASHI'S, C.O.S.A., VaVaが現役で在籍しており、過去所属したアーティストにRAU DEF, QNが名を連ねる。ある程度HIPHOPをかじったことがあれば否が応でも目に入る面々だ。
HIPHOPに疎い方々にも伝わるようにラフに説明すると、PUNPEEは水曜日のダウンタウンのOPテーマを制作、星野源と繋がりがあり2020年には合作を発表、あの加山雄三のオファーを受けて「お嫁においで2015」を制作・発表しするなどHIPHOPシーン以外でもしれっと活躍しまくっている人物である。ちょっと前に元AKBのメンバーと結婚して大々的に報じられたりもした。
ちなみに前述のPSGはPUNPEEと5lack(PUNPEEの弟)によるHIPHOPユニットで5lackも現在進行形で様々な活動をしている。
VaVaはSUMMITでの在籍歴が比較的若く、さいきん世間の注目を浴びはじめた期待のアーティスト。同じSUMMIT所属のTHE OTOGIBANASHI'Sに彼らの代表曲を含め多数のBeatを提供するなどしてコアなファンに認知された後、2017年に平井堅の「魔法って言っていいかな?」のRemixを手がけた。
因みにニコニコ動画や2ちゃんねる、日本のサブカルチャーで育った生粋のオタクで、自身の楽曲でもそれがダイレクトに反映されている(Beatのサンプリング元がポケモンのBGMだったりアスキーアートを題材にした曲を作ったりなど)。
SIMI LABはその名を耳にしたコアなHIPHOPマニアは即座に反応する経歴・作風ともにガラパゴスな実力派集団。OMSBとQNはSIMI LABのメンバー(元メンバー)の一角。
RAU DEFは若いうちからスペースシャワーTVでその年最注目のアーティストに与えられる「LEADER OF NEW SCHOOL」を受賞するなど活躍が目覚ましいラッパーで、どこか爽やかでキレを感じさせながらもゴリゴリなHIPHOPが得意なラッパーだ。
C.O.S.Aはグループなどには所属せずソロで活動しているBeat Maker兼Rapperだが、近年KID FRESINOとのアルバム合作などで脚光を浴びてそのリリシズムがコアなファンを刺しHIPHOPシーンにおいて磐石の地位を築いた。
ここまで書いてから気づいたが、SUMMITはビートメイクとラップの文武両道(?)アーティストが多い。そして世間や若者のあいだで大ブレイクするような作風ではないものの、それぞれが実力に裏打ちされた安定感のある楽曲を制作している。
この記事を書くにあたって流し見していたWikipediaをよくよく見てみれば、そもそもの“SUMMIT”が代表の増田氏による「小さくても自分なりの山をつくれたら」という考えから命名されたものらしいから、納得だ。
それなりに音楽を掘るのが好きなひとはご存知な通り、個々のレーベルの個性は所属アーティストの傾向で知ることが出来る。気になるレーベルができたときは所属メンバーを見てみると良いかもしれない。
さて、導入ができあがったところで本題に入ろう。
おおよそ予想できると思うが、今回紹介する名盤はSUMMIT所属アーティストのものである。
筆者が音楽系の記事を書くに至る話題は、だいたいそのときたまたま聴いていた曲から連想されたものである。その方が筆が乗る。
というわけで紹介するのはQN「New Country」。
客演がいっぱいで個々の楽曲が元・SIMI LABメンバーであることを感じさせる無国籍な音で構成されているのだが、全体のバランスが絶妙で「アルバム↔ひとつの作品」が成立していて連続で聴いてて違和感がない。
よくよく聴くと色々な音やFlowを曲に取り込んでて貪欲なスタンスが伝わってくるし、ジャジーな上ネタの曲もあれば、アフリカ音楽っぽいのや筆者にはジャンルがなんだかわからないものもあるのだが、全てがHIPHOPの原初的な煙たさでコーティングされていて統一感を感じる。煙たくて温い(ぬくい)のだ。
実験的でありながら統率の取れた作品構成は安心感を感じさせる。個人的にカフェや作業のBGMに欲しい。蕩けて捗らないだろうけど。
ちなみに全部で13曲、総再生時間は39分ほど。
休憩がてらサクッと聴いてよし、ガッツリ神経を研ぎ澄ませるのもよし、ループ再生するもよしといった感じ。筆者は大抵の曲を全パターンで聴く。
そんな感じで、一応は普段HIPHOPを聴かないひとにも伝わるように説明を挟みながら名盤紹介をしてみた。
読者の皆様型におかれましては梅雨明けまでもうしばらくあるし、今年はまだまだ自粛が続きそうなので色々聴いてみるのも良いんでないかと思う。
筆者の方はというと次回以降の投稿テーマはまだ決めていないのだが、趣向を変えて刺激的な話題をチョイスしたら喜ばれるだろうな、と思いつつそのときの思いつきで書くだろうなあと未来の自分を考えたりするのだった。